一方で、今回の議題に関しては機能のことではなく、理念や企業姿勢の話についてです。
「ある個人が欲しいものをつくる」というだけでなく、その「選択の先の影響」まで考えた消費を促すことが GAARUが言う”社会課題を解決する”ことだとお伝えしたいと思います。
どこで、誰が、どうやって作った製品なのか
もちろんそういった製品ベネフィットを追求することは大切なのですが、さらに踏み込んで見ると、モノづくりはさらに面白くなると感じています。
無農薬や品種改良をしない種を使って栽培をするということは、とても非効率といえるでしょう。虫害があるし、天候の影響も受けやすい。熟練した腕を持って土づくりに取り組んだとしても、市場で求められる均一な形や味をキープすることは難しい。廃棄率が高くなるという問題を抱えています。生産者側の視点で言えば、採算を取ることが難しくなります。
一方で、農薬を使った土壌はどんどん痩せていきます。そして、そこから化学物質が川に流れ込み、海の生き物やそれを食す人にも影響を与えてしまう。余談ですが、レイチェル・カーソンが書いた”沈黙の春”はそうした環境への影響を危惧して書かれた作品だったと思います。
エシカル(倫理的である)だけでモノは売れない、けれども
エゴや綺麗事と指摘される方もいらっしゃいますが、それに対する回答は「やりたいから、やる」です。自分たちの選択が未来につながっているということをより多くの人に気づいていただくために、自分たちの力を使いたい、貢献したいと思っています。
安い木材が国を越えて運ばれ、ステッキの生産がすべて機械で行われる様になったとすれば、コストは下がっていくでしょう。けれども、モノづくりの過程で生まれる人の交流、コミュニケーションは、それ以上の価値を地域や日本に生んできたはずです。それが文化だと思います。そのことを忘れて、失くしてしまうのは残念でしかありません。
GAARU のふたりはメーカー出身です。「元気がない」と言われる日本の製造業を見てきました。ニーズに合ったものを、より安く、より早くお届けすることで挽回を図る。でも、そうではないアプローチも有り得るのではないか。その実現はとても困難なことだけれども、そこに挑戦しなければ会社を離れる意味がない。そう思って、Walking Stick を作りました。
勿論、品質・機能にも自信はあります。でもそのことよりも「初心を忘れてはいけない」ということを思って、made in ではなく、made "for" Japan と書きました。値段以上に、価値やたくさんの人の想いが詰まったステッキを、貴方の大切な人へ贈ってください。