日々やるべき事があるとそうした視点は中々持ちにくいだろうし、「机でする勉強よりも、OJT( On the Job Training 、仕事を通じて学ぶこと)が大切」という考え方もある・ありだと思う。「専門の方に教えて貰えば、助けて貰えばいいかな」という考え方も特に自営の場合は多いと感じる。
とは言うものの、一応手を出してみて今感じていることは冒頭の様な必要性で、そうなっていった過程を書いておこうと思う。
そこで「自分は何をすれば(学べば)いい?」と考えてみたが、明確な考えや意志はなかった。資格や学位が必要なこと(仕事や職業)をしたいということではないし、心を動かされるような興味・関心、発見も「最近、そういえばないなぁ」と思ってしまった。
ただ、漠然とではあるが「同じことをひたすら繰り返していくというのも、どうなのかな・・・」と周りを見ながら思い始めた。(一つのことを極める、職人的な姿勢を否定する訳ではない、むしろ格好良いと思う。プラスアルファも考えてみるか、という気持ちがあったということが言いたい。)
そこで、逆に「なぜ学び直しをしないのか」という理由を考えてみると、「今で事足りている、もしくは不足がない」と感じているからではないだろうか。
そういうロジックが思い浮かんだ瞬間「(自分って)そんなイケてる(万能な)人間だっけ?」と急に不安になる。甘えを払拭するために何か始めたいと思った。
とりあえず少しは感覚があるだろうと思うことから始めてみることに。英語。点数があった方がわかりやすいということで TOEIC を14年ぶりに受験してみることに。
その日のうちに書店に行って参考書や問題集を揃える。自分でも驚いたが、試験日までの数ヶ月、一日も欠かさず机に向かうことが出来た。問題形式が改定されていてコツを習得するのに時間が掛かったセクションもあったが、スケジュールに余裕があったので繰り返して解法を身につけることが出来、理解していると実感することで継続も出来たと思う。
結果としては、一度の受験で最高点を更新することが出来て「まだ鈍ってない、、、良かった。。。」という安堵感があった。ここから感じたのは、
・とりあえずやってみる、も大事。
・「できる」の積み重ね。高い目標も大切だが、「できることから」が継続に。
・点数が上がっても、何かが大きく変わるわけではない。当たり前か。どうなりたいという強い理想もなかったと再認識。
・少なくとも今は、英語が「絶対にモノにしたい」という訳ではなさそうだ。受験後、オンライン英会話なども検討したが、正直点数で満足してしまっている。
・スピーキングを放っておくと、またいつか「やらなきゃ」感をぶり返すかもしれない。どうしよう。
・一度取り組んだことは、年月が経っても残っている(のかも)。
・所謂「歳を取って物事を覚えにくくなった」感はまだ無い。よかった。
といった点だった。学び直しのスタートラインに立つ(気持ちを持つ)事が出来たというレベルだと思う。
TOEICの試験対策に並行してやっていたのが、スタディサプリ。TOEIC対策講座ではなく、大学受験講座。多分、TOEIC対策だけではなく、文法をしっかりと理解した英語力を磨きたい気分だったのかもしれない。志望校や生年月日を入力する場面ではどうしても気後れしてしまった。(休会してしばらく経ったので、記憶は曖昧)
英語のために始めたスタディサプリだったが、すぐに数学ばかり受講する様になる。確か中学1年から高3まで一気に視聴したと思う。授業が面白い。先生が個性的で惹きつけられるし、時に厳しいこともあり、グッと気を引き締められる。対面だけでなくオンラインの授業も良いと実感。
英語の先生も個性的でなるほど!と思うことが多かったが、数学の受講が多くなってしまったのは、多分本当の興味関心が、英語ではなく数学寄りだったからだと分かった。「もっと知りたい」と興味が湧いた。英語は社会人になってからも少しは勉強することもあったけれど、数学は全く離れていたので全部新鮮に感じたのかも。
ここまでで(昨年〜今年年始)「英語よりは数学か」という方向性が、少しは絞れてきた。(上述のできることからやるという意味で、大学レベルではなく中学レベルから始めることが出来たのも良かったかもしれない。)
そこで普段使用するプログラミング言語 Python とその中で用いられる機械学習を深掘りして行くのはどうか、と考える様になる。数学との関わりも深いし、DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代と言われているし良いのではないだろうか。具体的には Python に関する認定試験と統計検定。
Python に関しては2つの認定試験を目標にした。
・Python 3 エンジニア認定基礎試験
・Python 3 エンジニア認定データ分析試験
前者が基本的な文法を問う試験で、後者がデータ分析に用いられるコードやライブラリの使用方法について問われる試験(という私的な理解)で、一般的には前者の方が入門編・知識が問われ、後者は少し実践寄りになっているのだと思う。
少しは Python を使用していることもあり、数週間の対策で基礎試験を受験したところ、想像以上にギリギリの合格であった。何となくコードを書いているのと、思想を理解し実務でのチームワークを想定して書くコード・その心構えには違いがあるのだなと認識することが出来た。
そこで少し気合が入り、同じく数週間の準備だったが、後者は納得のいく内容で合格することが出来た。より自分が使用している Python に近い出題内容が多く、勉強もしやすかった。ただ、知っていることも多くあったため、「試験に受かるための勉強」感は正直あった。
一方で、試験の情報を集める際に色々な方のブログを読むことで発見もあった。漠然と「数学系で同じ枠」と捉えていたプログラミングと統計学が、具体的にどうつながっているのか述べられている方も多く、コードによる出力結果だけでなく、統計を学ぶことでプログラミングの処理過程を理解することができるかも知れないと考える様になった。また、上述の友人の一人が統計の勉強を勧めてくれていたこともどこかで意識したのかも知れない。
そこで統計検定に取り組むことにしたのだが、これがここまでで一番しんどかった。
先に結果を書くと、3ヶ月ほどの勉強期間を経て何とか統計検定2級には合格する事が出来た。かなりギリギリで、テストセンターのパソコンの前で思わず苦笑いしたのを覚えている。
大学基礎科目レベルという説明だったので「努力すれば理解はできるだろう」と簡単に考えていた。しかし、自分が基礎にも達していない、前提知識が欠けていたことにすぐ気付かされる。例えば、数学のΣ(シグマ)の計算・展開方法等である。お恥ずかしいことだが、高校で文系コースを選択して以降、真剣に取り組んで来なかった事柄がそのまま不出来につながっていた。過去問などをやってみると本当に零点に近い点数を取ってしまった年度もある。正直苦戦した。小さな「できる」すらない状況。
ただ、プログラミングや英語で培ったというか慣れたというか、自分なりの勉強のスタイルが出来ていたことに助けられた。
・キーワードを見極めてググる(検索する)。必要ならば英単語でも。
・調べたことは何度も見返すことになるので、ドキュメントファイルに纏めておく。リンク機能なども有効活用する。繰り返すと少しずつ定着してくる。
・定理やルールは、分からなければ理屈は置いておいて、一旦覚える。覚えていれば使える。(プログラミングの関数の再利用と似た感覚。)
・少しでも前に進めるのであれば、集中力をギリギリ保てる。
・説明が分かりやすいと感じた人のブログや動画は、関連箇所以外も見る。全体の構成が何となく頭に入ることで、個編の理解もしやすくなる。
統計学という分野において2級レベルは入口だと考えられている様だ(自分的にはしんどかったが)。ただ、繰り返し勉強してみたことで、数字の読み方や分析の仕方に関して少し視点が変わったと感じる。言葉では知っていても腹に落ちていないのでそんなに気にしなかった事が毎回しっかり意識する様になったり。例えば、「平均だけで比較するのではなく、それぞれバラツキを見て、データの特徴を捉える」こととか。分散や標準偏差、相関などを手計算で出していたから意識する様になったと思う。
余談ではあるが、ビッグデータだけではなくスモールデータをどの様に活用していくのか、そもそもデータがないところからどの様にDXに繋げていくのかというのは個人事業主や中小企業の課題になると思う。統計検定で問われるような、例えば大きな集団からそれなりのサンプル数を取り出してそこから全体を把握するという様な、シチュエーションは中々ない。こうした課題解決に向けて深掘りしていくのは楽しいのではないかと思う。
準1級・1級に向けて統計学の勉強を進めるかどうかは、正直迷っている。実務とのつながりが未だイメージできていないことと、2級でも結構苦戦したなぁという気持ちもあるためハードルが高そう。一方で、線形代数や微分積分の勉強はスタートした。統計学や機械学習につながると言われているので、また気合が入ったら具体的な目標を作ろう。
勉強に限らず何かをやろうとすればするほど、先人や周りの凄さを見せつけられる。また、自分がどれだけ至っていないのか意識させられる。そうした気持ちの中で何かを続けるということはしんどいと感じることもある。やり通してみても「あまり意味がなかったかも知れない」となってしまうこともある。
ただ、やってみたからこそ「(少なくとも今は)ここではないんだな」と考えることもできる。やってみることでしか分からないことがあるという事を勉強は一番分かりやすく教えてくれる。
知識を習得することも大切だけれども、自分が知らない未知の事柄に対するアプローチについて、学ぶというまではいかなくとも、学習を通じて確認することが出来ていると思う。何かしら自分にとって大切なモノを見つけられる様、継続していきたい。