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床革について

9/10/2021

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「床革」という革についてはあまり聞くことがなく、一般的に認知されていないと思います。そこでこのページでは、その素材について説明させて頂きます。
(1)床革(とこがわ)とは
一般的な皮革製品に用いられている光沢やツヤのある革は銀面と呼ばれています。これは動物の皮の表面部分を使用したものです。製品によって必要な革の厚みは異なるため、表面から必要な分だけを使用し残りが出ます。この残りの部分が”床革(床面)”です。

例えば、成牛の皮(「皮」は鞣しという加工を行うことで「革」になります)は、厚さが約5mmほどですが、レザー製品によく使用されている革の厚みは1.5 〜 2.0 mm だそうです*。多くの部分が床革として産出されることになります。

身近なところですと、スエードの製品は床面を加工(起毛など)して出来ています。厚みや加工方法で別の物にはなりますが、何となく質感や雰囲気を想像していただけるのではないかと思います。

* 使用する個体や部位によって厚さが異なります。数値について調べていくと諸説・データがありましたので、概ねの数値・平均値等を記載させて頂きました。正確なデータというよりは概要の理解としてお読み下さい。
(2)特徴・性質
柔らかな色と自然な触り心地が床革を使用する主なメリットです。お花屋さんの店頭で使用する場合、お家で自分時間にご使用される場合、それぞれに適した服装や場の雰囲気がありますが、うまく調和してくれるナチュラルな素材です。使用テストをお願いしているお花屋さんのスタッフの方々にも好評でした。
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また、一般的に「革は水に弱い」と考えられますが、床革はこれに関しても比較的にメリットを有しています。例えば、水ぶくれなどの変形についてです。銀面の革は、表面部分とその下の床面部分の2層から成ります。水が入って来た場合、それぞれの繊維が変形し、層によってその程度の差が生じるため、隙間ができ膨れてしまいます。一方で床革は同じ層で形成されていますので、厳密には同じ床面でも繊維の密度にグラデーションがありますが、変化の差異が銀面に比べて生じにくいと考えられます。
加えて、染色をしていない、もしくは染料などの使用量が少ないため、水による色落ち・衣類などへの色移りも銀面に比べて少なくなります。
デメリットとしては、銀面に比べ強度が劣る点になります。これは皮の表面部分に近いほど繊維の層が密になっているためです。一方で、銀面と比較して劣っていることが必ずしも強度が不十分ということではない、ということも述べさせて頂きます。
フローリストケースの場合、革紐部分が最も薄く細い箇所になりますが、下記写真をご覧いただくと約7kg の力に耐え*、撮影のため繰り返し引っ張りましたが破損等はありませんでした。勿論、物理学的(どこにどれだけの荷重が掛かっているか等)・実使用的(使用に合った負荷の掛け方ができているか等)に正しい実験方法ではないですし、長く使用を継続していく中で繊維が伸び広がって強度が落ちていくことも考えないといけませんが、弱い素材ではないことを確認し、また革職人が使用部の選別・整形・デザインにも配慮して製品に使用していることをご理解頂ければと思います。

* 実使用に則した最大の耐重量を正確に計測したものではありません。床革を結んでいる金属バーの様子や私自身が片手で引っ張ることができる力を考慮し撮影できた時の数値です。また実験に使用した個体の数値になります。参考情報の一つとしてご確認下さい。
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また、ナチュラルな色味故に、汚れがついた際に気になりやすいという点もあります。(銀面・床革問わず)土や埃、水分がついた際はブラッシングや乾いた布で汚れを払っていただく、定期的にご使用いただき手の油分を伝えることで乾燥を防ぎ、一部分ではなく全体的に革を馴染ませていくなどお手入れを心がけて頂ければと思います。
防水スプレーや革用の栄養ミストをご使用いただくことも可能です。その際は透明の製品をご使用いただくこと、一部分に塗り込むものよりもミストなど優しく均一に適用できるものを使うこと、革紐や裏側などで少しずつ試しながら全体に均一に使用していくこと等にご留意頂ければと思います。
(3)環境素材として
床革はいわゆる副産物であり、使用されず廃棄されてしまっているケースも多い様です。その理由の一つとして、使用するために手間や時間、コストが掛かってしまうということが挙げられます。元々は動物の皮であり、特に残された床革の厚みは均等になっていませんし、毛の立ち方や色味・模様など革の風合いもまばらです。工業製品の様な均一なモノづくりを目指す場合には、それらを選別し整え直す必要(場合によっては外部に送付し厚さを漉き直してもらうなどの対応)があり、扱いにくく非効率な素材とも言えます。

​そうした差異を作り手の工夫で出来る限り小さくすること、また、違いを個性や風合いとして認めていただけるお客様の理解があること。どちらが掛けても床革の製品は成り立ちません。

環境問題やSDGs 等に関する取り組みが昨今重要になって来ていますが、「何を選択するか」、「製品はどの様に作られているのか」という関心に応えられる様に、私たちもモノづくりをしていきたいと思います。そうした想いを体現する床革の製品とその利用が広く認知されていくことを願っています。
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