僕が入社したのは日本の電機メーカーで、新入社員は夏の1か月ほど地元の電気屋さんで研修を受けます。ちょうどこの時期です。その期間は会社の寮から脱出(そんな言葉使ったら失礼、怒られる、申し訳ないです)し、実家での生活でした。もちろん業務は行っているのですが、会社に入ったばかりで慣れない環境に緊張していたので、少し気持ちが落ち着いた時だったと思います。
それまで町の電気屋さんというと大手電機量販店などに押され、お世辞にも繁盛しているイメージはありませんでした。でも、実際に店舗で働かせていただくと、とにかくやることが一杯。朝出勤してから帰る時間まで、常にフル稼働、ユニフォームは汗だくだった様に思います(実際に商売も順調だった様です)。
文系の僕はもちろん電機製品の修理ができるわけでもないし、この時期がピークのエアコンの取付も、大切なお客様の御家に施工するわけですから、製品や部品を運んだりするのが主でお手伝いレベルでした。が、とにかくひっきりなし、家から家、お客様からお客様のところに忙しく動いていました。
忙しさ以上に印象に残っているのは、お客様の笑顔です。ほとんどのお宅で「暑いのにありがとうね、どうぞあがって!」と笑顔で迎えて下さり、お茶やお菓子まで出してくださいます。僕なんかは横でニコニコするくらいしか出来ないですが、いつも同行させて頂いていた社員さんはすごく親しくお話しをされていました。仲の良いご近所さん、ご友人の様な関係だったと思います。
1か月という短い期間でしたが、何度かお伺いしたお客様も少なくありません。こちらから電話したり、向こうから御呼びが掛かったり、1週間に一度は訪問させて頂くお家もありました。ちょうど祖父母と同い歳くらいのお客様が多く、お孫さんと僕の歳も近いためか、名前を憶えて下さり可愛がって頂きました(「あんた、おぼこいねぇ」と言われて、聞いたことがない言葉だったのではじめは意味が分かりませんでした。お恥ずかしい)。
大した貢献が出来なかったことは、その電気屋さんのご主人や奥様、社員の方にとても申し訳なかったですが、僕としてはとても楽しく仕事をさせてもらっていい思い出として鮮明に覚えています。
多分、この時出会った「目の前のお客様」、そしてそこでのやり取り「コミュニケーション」がとても楽しかったのだと思います。その時、そして今振り返って想うことをGAARUでも大切にしたいなと思います。